お祝いに贈るお花といえば胡蝶蘭と、個人〜ビジネス用途など、さまざまな用途で選ばれます。
そんな胡蝶蘭は、お花の中でも最も高いお花です。中には「なぜこんなに高いの?」、「原価はどれぐらいなの?」と気になる方もいると思います。
この記事では、主に胡蝶蘭の原価と仕入れ値の確認方法について解説しています。また、少しでも安く胡蝶蘭を購入する方法も公開しているので、ぜひご参考ください。

ハナマッタル運営者
タマキ
この記事内容の根拠
ハナマッタルでは、以下の情報をもとに本記事を執筆しております。
- 花屋歴9年(生花装飾専門)の経験や知識
- 現在は生花装飾の請負のみ
- 花屋仲間の市場や仕入れ情報
- 資材屋(花屋専門)の知り合い
- 一般公開されている市場の情報
また、当サイトではお問合せ窓口を設けています。「自分で選ぶのが難しい」「お花に詳しい人に相談したい」など、お花に関するお悩みならどんな些細なことでも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください!
そもそも胡蝶蘭はなぜ高いのか
お花のなかでも、胡蝶蘭は最高級の値段がつくお花です。では、いったいなぜ胡蝶蘭は高いのか?
高額な理由は以下のとおりです。
- 原価が高い
- 「胡蝶蘭=高級」というブランド価値
それぞれ解説します。
【高い理由❶】原価が高い
花屋さんが販売するお花は、自ら育てるのではなく、仕入れて販売するのが一般的です。
その中でも胡蝶蘭は、特に仕入れ値が高いお花。その理由は、「育てるのが非常に大変だから」です。
胡蝶蘭の成長には長い年月がかかる
胡蝶蘭が開花し、出荷できるようになるまでには 約5年 もの歳月が必要です。
- 発芽から苗になるまで:約2年
- 苗から開花・出荷まで:さらに2〜3年
この長い生育期間が、胡蝶蘭のコストを押し上げる大きな要因となっています。
日本での栽培が難しい
胡蝶蘭は熱帯地域(台湾・インドネシア・ベトナム・タイなど)が原産で、暖かい気候を好みます。そのため、日本のように四季のある環境では 温室設備が必要 となり、栽培が難しくなります。
さらに、胡蝶蘭の種は 「無胚乳種子」 と呼ばれ、自然環境では発芽できません。発芽には 人工的な栄養環境 を整える必要があり、手間がかかります。
また、胡蝶蘭は非常に繊細で 成長した状態での輸送が難しい ため、かつては 台湾から輸入した苗 を国内で育てるのが主流でした。しかし、苗も高価で、日本での栽培には 温室の維持費 もかかるため、コストがかさんでいました。
近年の変化:クローン技術の導入
近年ではバイオテクノロジーの進化により、クローン栽培 が可能になりました。これにより、以前よりも安定した供給ができるようになり、価格も下がりつつあります。
しかし、それでも長期間の栽培や環境維持が必要なため、胡蝶蘭の原価が高いことに変わりはありません。
【高い理由❷】「胡蝶蘭=高級」というブランド価値
クローン技術の発展により、品質が安定し、以前よりコストを抑えて生産できるようになりました。しかし、それでも 胡蝶蘭の仕入れ値は依然として高いままです。
仮に生産コストがさらに下がったとしても、胡蝶蘭の価格が大幅に下がることは考えにくいでしょう。「胡蝶蘭=高級」というイメージは定着しており、多くの人がその価値を認識している からです。
需要がある限り、市場が供給過多にならない限り、花屋や通販業者がわざわざ安売りしたくありません。
そして、胡蝶蘭は今も進化を続けています。生産者はより美しく、豪華な胡蝶蘭を生み出すために品種改良を重ねており、その価値は高まり続けています。
胡蝶蘭はこれからも 「高級な花」というブランドを維持し続けるでしょう。

胡蝶蘭の原価の仕組み
販売店は、主に市場から胡蝶蘭を仕入れますが、胡蝶蘭の原価は仕入れ値だけではありません。
ただ仕入れただけでは、鉢が剥き出しの状態。このままでは贈答用としては不十分です。なのでラッピングをする必要があります。

ラッピングにも以下のような資材を用意するので、資材代も原価に含まれます。
ラッピングに必要な資材
![]() 包装紙 | ![]() リボン | ![]() カットセロハン |
![]() 札 | ![]() 札の台紙 | ![]() 札棒 |
もっと深ぼると他に、「ラッピングにかかる技術料や人件費、配達もサービスに含むなら車の維持費など」もあるでしょう。
よって胡蝶蘭の原価は「仕入れ値+α」となります。
胡蝶蘭の仕入れ先、流通経路
販売店は主に、以下のような流れで、市場から胡蝶蘭を仕入れます。

生産者が栽培した胡蝶蘭は、農協をとおして花市場へ出荷されます。そして各生産者から集められた花は、市場で注文取引、相対取引、競りなど、さまざまな取引によって売買されます。
基本的に販売店は、市場から花を仕入れますが、状況や花屋によっては※卸売業者をとおして間接的に仕入れを行います。
※卸売業者は、問屋や仕入れ代行などの役割。
つまり胡蝶蘭の仕入れ先は、市場か卸売業者。まとめると、仕入れ値は「市場での購入価格」or「市場での購入価格+卸売業者の利益」と考えていいでしょう。
胡蝶蘭の仕入れ値を確認する方法
市場で取引されている胡蝶蘭の仕入れ値は、市況情報から確認することができます。
しかし、一般公開されている情報での「市場の取引価格」はざっくりです。
胡蝶蘭はグレードによって価値が変わりますが、市場での売値はそのグレードや、品質(良品〜傷ありなど)を目安に決められます。
花の大きさ | 大きいほど高価 |
---|---|
本数(仕立て) | 多いほど高価 |
輪数 | 多いほど高価 |
品種 | 希少な色、賞を取得など認められている品種ほど高価 |
登録会員でないとグレードごとの値段は確認できず、全てをまとめた平均価格での表示となります。ご参考程度にご覧ください。
胡蝶蘭の仕入れ値を公開
前提知識・・・時期によって仕入れ値は変わる(タップで詳しく)
市場での卸値は、時期によって変動します。その理由は、時期によって需要と供給量が変動するからです。
暖かい時期は胡蝶蘭がよく育ち、供給量が上がります。需要に対して供給量が上回れば、価格は下がるでしょう。逆に供給量に対して需要が上がれば、価格は高騰します。
 月別平均卸売価格.png)
4月は転機の時期と言われ、胡蝶蘭を贈る機会は多くなります。上記の画像でも準備期間の3月がグッと上昇しているのがわかります。そういった理由が影響しているのだと考えられるでしょう。
さらに詳しい説明はこちら
贈り物として最もポピュラーなのは、無難な「3本立ちの、30〜40輪前後」だと思います。
このグレードの平均価格は、一概には言えませんが「3,000〜8000円」程度。安い時期、安い品種、傷ありなどは1,000円代で出回ることもあります。
また、洋蘭園によって開発された品種は異なります。品種によって質(花の大きさや、花の保ち)も変わるため、認められた質のいい胡蝶蘭は高額で出回り、高いものでは「15,000円」ほどです。
販売店では、販売価格を一定に保つために平均原価から計算して価格設定することが多いです。
ですが予想外の高騰の恐れもあるため、本当の平均価格よりすこし高めで計算しているのが一般的でしょう。
よって、最も選ばれる「30〜40輪前後の大輪胡蝶蘭」の仕入れ値は、7,000円前後と考えておきましょう。
胡蝶蘭を安く購入する2つの方法
もちろん花の種類にもよりますが、胡蝶蘭以外の鉢花の仕入れ値は、ほとんどが1,000円以下。約7,000円ほどする胡蝶蘭の仕入れ値は、他の花と比べてはるかに高いことが分かります。
販売価格が20,000円とした場合、ラッピング資材なども合わせて原価8,000円ぐらいと考えると、※原価率は約40%。むしろ安いぐらいです。
※商売としては「20〜30%」で抑えるのが理想。50%を超えることもあります。
花屋さんも商売です。「私達が購入する価格」が数万円するのも納得せざるを得ません。
でも、やっぱり高い…
すこしでも安く買いたいと思うのは普通だと思います。なかには「なんとか仕入れ値で購入することはできないのか?」と考えたことがある人もいるのではないでしょうか?
しかし残念ながら一般の方が、市場から購入することはできません。もし購入できたとしても、ラッピングや札の用意も自分でできるのが前提です。あまり現実的ではないでしょう。
なので、今回は「すこしでも安価に購入できる方法」を2つご紹介します。
- 安い通販・お店を選ぶ
- グレードを下げる
それぞれ、順にご説明します。
①. 安い通販・お店を選ぶ
より安く購入するなら通販がおすすめです。実店舗と比べて、幅広い種類から選べるので、次にご説明する「グレードを下げて購入する」のにも役立ちます。
数ある通販でも、安く購入できるのがこの3つ。
画像タップでジャンプ
それぞれ「低価格」という観点で、ハナマッタル独自の5段階評価もつけております。ぜひご参考ください。
PREMIER GARDEN(プレミアガーデン)

ハナマッタル評価:
送料 | 1,320円(税込) |
---|---|
配送地域 | 全国(北海道、沖縄、一部の離島・郡部を除く) |
配送・配達時間 | 当日配送:12時までのご注文 当日のお届け └東京23区 / 横浜市・川崎市(一部地域を除く) / 埼玉・千葉の一部イベント会場 / 名古屋市内(一部地域を除く) /大阪市内(一部地域を除く) / 福岡市内(一部地域を除く) 翌日以降のお届け └東北地方 / 関東地方 / 中部地方 / 近畿地方 /中国地方 / 四国地方 / 九州地方(北海道、沖縄県を除く) |
運営会社 | 株式会社PREMIER GARDEN |
その他 | Q&A |
通販サイトの中でもトップクラスの低価格。厳選された質の良い品種を扱うことで安いだけでなく、同じグレードの胡蝶蘭でもワンランク上の豪華さで贈ることができます。
主にキヌナーセリーから仕入れており、白の場合はキヌホワイトエンペラーを提供しているようです。これらの厳選された品種により、一番安価な商品でも※高さは約80cmと大きいです。
※他社の商品と比較して、約1.2〜1.5倍ほど。茎が長く育てられている
また、同じ値段でも他のショップと比べて、より豪華に贈れるのが最大のポイント。
例えば、後にご紹介するひとはなでは「3本立ちの22,000円で、35〜40輪前後」ですが、プレミアガーデンでは「3本立ちの21,670円(送料、税込)で、45〜48輪(つぼみ込)」と、同じ値段でもよりハイグレードです。
安く、豪華に購入したいならプレミアガーデンがおすすめです。
\同価格でより豪華に/
HanaPrime(ハナプライム)

ハナマッタル評価:
送料 | 地域による(商品ページにて送り先を選択して確認) |
---|---|
配送地域 | 全国(沖縄、離島を除く) |
配送・配達時間 | 当日配送:12時までのご注文・東京都23区内は夜間配送OK(平日21時まで) 最短お届け日 └地域による(商品ページにて送り先を選択して確認) |
運営会社 | 株式会社HanaPrime |
その他 | よくある質問 |
「低価格」という観点では、プレミアガーデンと同レベルの安さのショップ。なかでも大輪が10,000円(税込)と、恐らく全ショップ最安値の商品も扱っています。
プレミアガーデンも10,000円を切る商品を取り扱っていましたが、値上げによって無くなってしまいました。市場の価格によっては復活する可能性もあるので、今後に期待です。
また、サイトも綺麗で見やすく、ラッピングも選びやすいのが特徴。場合によっては追加料金を払って、ラッピングを豪華にすることも可能です。

\すこしでも安く買うなら/
HitoHana(ひとはな)

ハナマッタル評価:〜
送料 | 無料 |
---|---|
配送地域 | 全国(沖縄配送不可、離島要相談) |
配送・配達時間 | 当日配送:12時までのご注文 最短お届け日 └地域による(商品ページにて送り先を選択して確認) お急ぎ便:+2,200円(税込) |
運営会社 | 株式会社Beer and Tech |
その他 | よくあるご質問(Q&A) |
安さだけでは他2つに劣りますが、総合評価としてはハナマッタルいちばんのおすすめ通販です。
まずサイト自体が綺麗で見やすく、自分のニーズから選びやすい。取り扱っている商品も多く、ミディや多くの色や品種が選べます。グレードも細かく選べるので、「迷った時はひとはな!」と言えるでしょう。
いちばんの特徴は、商品ごとの「口コミと、実際に購入された写真」が見れること。

過去実績が見れるため、「ちゃんと写真と同じものが届く?」「少し安いけど大丈夫かな?」などの不安も、購入する前に判断できます。
\問い合わせサービスも充実/
②. グレードを下げて購入する
ちょっとした付き合いで贈る程度であれば、グレードを抑えても十分な贈り物になります。
今回は「安く買う方法」としてお伝えしますが、本来は相手や状況に応じて、あえて小さいものを選ぶ事もあります。
なにも考えずに、ただ大きいものを贈るとかえって邪魔になってしまうことも。時にはこういった「気遣いや配慮」も大切です。
では実際にどんなものを選ぶべきか。具体的には以下の2つ。
- 中大輪・ミディ(中輪)を選ぶ
- 輪数を少なくする
それぞれ順にご説明します。
中大輪・ミディ(中輪)を選ぶ
サイズを抑えることで価格がおさえられます。
胡蝶蘭のサイズ(タップで詳しく)
胡蝶蘭といえば大輪が一般的ですが、大きいものと、小さいものに分かれます。
※「◯輪」とは、名前のとおり輪の大きさ。つまり、花びらの大きさを指します。
ざっくり「大輪とミディ(中輪)以下がある」と覚えておけば良いですが、さらに細かく分けると以下4つのサイズに別れます。
◼︎サイズの目安
大輪 | 13cm〜14cm程度 |
中大輪 | 8〜12cm |
ミディ(中輪) | 4〜8cm |
ミニ・マイクロ(小輪) | 3〜4cm |
※上記はあくまで目安です。ご参考程度にご覧ください
輪の大きさと、全体的な大きさは比例するので、ミディやミニは全体的にも小さくなると考えて良いでしょう。

中大輪やミディは、大輪の胡蝶蘭がひと回り小さくなったイメージ。小さすぎず、大きすぎないので、豪華さは残しつつ場所をとりません。個人商店へのお祝いなどにおすすめです。
- 中大輪
- ダイヤモンドスター
- ミディ
- アマビリス


◼︎大輪とのサイズ比較


アマビリス
ダイヤモンドスターはその名のとおり、ダイヤモンドの様な白い輝きと、整った花並びがよく非常にエレガントな品種です。口コミでも「綺麗で、花も長持ちする」と好評な品種です。
アマビリスは胡蝶蘭の原種。おおくの大輪胡蝶蘭も、品種改良を繰りかえされたアマビリスの派生と言われています。全体的なサイズはダイヤモンドスターと同じで、輪のサイズはもう少し小さめです。
また、サイズを抑えたまま5本立ちにして、豪華に魅せられるのも「中大輪・ミディ」のおすすめポイントです。大輪の5本立ちでは大きすぎて、小さな飲食店などには向きませんが、スペースを取らずに立派な胡蝶蘭を贈れます。
5本立ちなのに、標準の大輪 3本立ちと同じ価格で購入できるのも嬉しいです。


◼︎大輪とのサイズ比較


アマビリス
輪数を少なくする

もうひとつの方法は、サイズは大輪のまま、輪数を少なく抑えることです。
輪数を少なくすると、「背丈」と「白(花部分)の縦幅」が短くなるイメージです。輪数が増えるまでの成長過程とも言えるので、同じ大輪でも輪の大きさはすこし小さいかもしれません。
胡蝶蘭は30輪以上から、市場での取引価格がグッと上がる傾向にあります。なので、値段を抑えて購入するなら30輪以下が狙い目です。
- PREMIER GARDEN(プレミアガーデン)
- HanaPrime(ハナプライム)
- HitoHana(ひとはな)



※以上のことから、表示輪数だけを見るとHitoHanaの輪数だけ少なく見えます。しかし写真、口コミ(商品ページ下部)の写真を見たところ「つぼみ込み」だと27輪以上はありそうです。
同じ輪数でも高さを出し、より豪華に見せるならPREMIER GARDEN、ほんの少しでも安く抑えたいならHanaPrime、実際に購入された写真を見て安心したいならHitoHanaの商品を選ぶといいでしょう。
【まとめ】贈り物でいちばん大切なのは、相手への配慮
まずはこれまでの内容をおさらいしましょう。
本記事の内容を総括
- 値段が高いのは、原価の高さとブランド力
- 胡蝶蘭の原価は「仕入れ値+α(加工コストなど)」
- 仕入れ値は、市場の卸値が参考になる
- 安く買うなら、安い店を選ぶかグレードを下げる
あらためて胡蝶蘭はお花のなかでも、仕入れの時点で高級なお花です。しかし胡蝶蘭はグレードによって価値が変わります。
なので今回は安く購入する方法として「小さいものを選ぶ」のをご紹介させていただきました。
値段が高いものを購入すれば、もちろん豪華で立派に贈れます。ですが相手や状況によっては、グレードを落とした方が喜ばれるケースもあります。
贈り物でいちばん大切なのは、やはり相手のことを考える事です。そこがマッチしていれば、相手にもより喜んでもらえて、価格も抑えられるのでぜひご活用してください。
しかし、大切な取引先や、割と重要なお祝い用途なら、しっかりと立派なものを贈りましょう。ほんの数千円でそれなりに変わります。あるいはより安価に、より豪華に選べるショップを選ぶと良いでしょう。
\同価格でより豪華に/
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